山上渡「エデン/ Eden」

2011年1月27日 - 2月19日

Maki Fine Arts では、1 月27 日(木)より山上渡 個展「エデン/Eden」を開催致します。コマーシャルギャラリーでの初個展となる本展では、人間とそれを取り巻く環境をテーマとし、新作油彩10 点を中心に発表致します。


「山上渡のこと」
清水敏男(美術評論家、学習院女子大学教授)
 
山上渡は粘菌に魅せられている。
粘菌はあの南方熊楠が研究していた生物である。粘菌は他の粘菌を呑み込み成長し移動する。移動する植物。それは植物でありながら動物である。三次元でありながら四次元であり、現実でありながら非現実の生物である。
南方熊楠が熊野の森に棲息していたように、山上渡は信濃の森に潜んでいる。信濃の森は粘菌を育くんでいるからである。信濃の山の中で粘菌は生まれ成長する。木の枝から枝へと粘菌は飛び、移動する。山上渡もまた粘菌を追って深い森を彷徨よい、ついには想像力の境界をはみ出すのである。
創造力のその先にあるのは同時に異次元が多重的に存在する空間である。山上渡の描く空間は植物が動物でもあるようにそこで静かに息をしているだけではなく時間のなかを拡張し移動し発光する。それは幻覚ではない。山ではそれを感じ、見ることができるのだ。
信濃の森にはあちら側に抜ける場所がある。粘菌はその場所そのものであり入口である。
山上渡はしばらく山にいることだろう。


【山上渡プロフィール】
1981年、高知市に生まれ、長野市にて育つ。18歳の時に沖縄、タイ、インドを放浪。以後、シャーマニズムに興味を抱き、ペルー、ボリビア、チリ、アルゼンチンなどの各地を放浪、独自に研究を重ねながら、「すべては結び、つながっている」をコンセプトに作品を発表する。2009年、岡本太郎現代芸術賞、特別賞を受賞。現在、長野県大町市を拠点に活動している。

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Wataru Yamakami "Far,far away"
2010, 112×145.6cm, Oil on canvas

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